○がんロコモについて。学会講演の覚書です。
どなたかの役に立つ内容があるかもしれません。
2016年以降、新生児よりも新規がん患者のほうが多くなった
がん診療の文化。
がん=闘病生活、勝ち負け、予後至上主義
がんは「根治しなければいけない疾患」だから=「がん診療の呪縛」
原発担当課が主治医という文化。
ほとんどが肺に転移してなくなる。
さて整形外科医のメンタリティー
がん診療の呪縛の中心、がんは特殊な領域。
がんは見てはいけない。
がん患者は診療対象外に、がんは「診なくてよい」
→腫瘍ならがんセンターに回せ。。。
骨軟部組織腫瘍=根治を目指す
骨転移=緩和医療
がんの骨転移 患者の2割に骨転移の臨床症状(痛み、麻痺、、、)があるが、解剖例では6割に骨転移病変がある。
→つまりは無症候性の骨転移が割と多いということ。
骨転移診療の実情
手術患者5000例のうち、71%が研修指定病院(上位15%)で行われている。
→上位15%;下位85%=14:1
とういことは、最適なタイミングで手術が受けられない可能性。
順番待ち、遠方など。
予後が長いがんにおいては、骨転移が問題を生じやすい。
整形外科医は運動器診療に精通しているが、腫瘍性疾患の経験が乏しい。
麻薬使用経験が少ない。
ICUの外科の患者さんは麻薬で眠っているが、腱板損傷の患者さんは病棟で痛がっている。
疼痛に興味のない整形外科医は多い。
骨転移診療の問題点
・診療担当医によって治療方針が違う
・医療者間の連携不足
・原発担当医、整形外科医が骨転移診療に無関心。原発担当医は運動器に無関心。
パフォーマンスステータスという言葉を知る。
がん患者の全身状態の指標。
日常生活の制限の程度。
がんの治療適応はパフォーマンスステータスで決まる。
PSは0-4段階。
整形外科はPSということばを知らないので、運動器の問題でPSが低くても、
がんの専門医はその影響がわからず治療の機会を逃している可能性がある
緩和ケアは終末期医療ではない。診断当初から亡くなってからもつづく。
緩和ケアとは患者とその家族が対象。
「整形外科医ができること
・通常の運動器診療
・PS維持を目的とした実施可能な運動強度の評価とADLリハビリ指導
・病的骨折、麻痺のリスク評価および予防と治療
・装具、自助具の処方と指導
↓
包括的な運動器マネージメント
自立した自分の生活をおくり、尊厳をもって日常生活を送れるように。
がんハラスメント、がんになると、整形外科の治療が受けられなくなる現状。
がん患者でも運動器疾患の治療によってPSを高めていく意識に思考転換する必要がある。
私見:
ウォーキングは免疫も高まり、がん細胞の嫌がる酸素が体中をめぐります。
がんロコモを予防して、PSの低下を防ぎ、体力を維持、活動や外出したりワクワクすることで脳内ドーパミンやエンドルフィンなども分泌。
MPS(筋膜性疼痛)は持続姿勢や反復動作、不動、座りっぱなし立ちっぱなしも関与。
治療は病院で、上記のようなことはパーソナルトレーニングとセルフケア。
病院での治療と、毎日の生活活動、家族や仲間、役割の維持に、整形外科医に限らず、多職種が得意分野で寄り添い相談にのれるといいなと思います。