世界中の痛みの教育、研究、臨床のエキスパートが集まって
痛みについて議論している国際疼痛学会というものがあります。
この度、2020年に、じつに41年ぶりに痛みの定義が改訂されました。
2019年に体を構成する組織にFascia(ファシア)が加わったのと同様に
より的確に痛みに対する扱いがなされていくと思います。
さて新しい定義
「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する
あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」
とされました。
日本疼痛学会は正確な和訳にチャレンジし、すべての医学書に正確に痛みの定義が
掲載されることを望んでいます。
定義への追記として以下のことが書かれています。
- 痛みは常に個人的な経験であり、
生物学的、心理学的、社会的要因によって
さまざまな程度で影響を受けます→みんなが脳が原因でもないし、筋骨格系だけが原因でもないということ
- 痛みと侵害受容は異なる現象です。
感覚ニューロンの活動だけから
痛みの存在を推測することはできません
→痛みの受容器(センサー)の活動がなくても、痛みを体験することがあるということ - 個人は人生での経験を通じて
痛みの概念を学びます
→痛みという感覚を、どのように認識するのかは、個人の人生の経験による。痛い、苦痛、悲しい、辛い - 痛みは通常、適応的な役割を果たしますが、
その一方で、身体機能や社会的および
心理的な健康に悪影響を及ぼすこともあります
→痛みを感じなければケガばかり。痛みは悪くない。しかし慢性的になるといろんな悪影響がでることも - 言語による表出は、痛みを表すいくつかの
行動の一つにすぎません。
コミュニケーションが不可能であることは
ヒトあるいはヒト以外の動物が痛みを経験している
可能性を否定するものではありません。
新しい定義をしっかり活かし、より良い痛みのケアを目指します。
PHYSIO